2009年11月18日水曜日

一番になることは無駄か

政治のことは分からない。分からないからエラそうなことは言わないようにしている。

…しかし、事業仕分けをニュースで見ていたらどうしても一言言いたくなった。

文部科学省の予算がばっさばっさと切られているシーンがニュースで連日報道されているようだ。

文部科学省というのは、企業で言えば「研究開発部門」に当たると思う。つまり、中長期的に見ると競争力や志気という点でとても大事な仕事をするところだと思っている。

企業もそうだけれど、研究開発というのは、吉と出る可能性もあれば凶と出る可能性もある。いわば博打のような側面があるけれど、それを恐れていては先に進めない分野だ。特に採算が重要な企業と違って、国なら採算を度外視した夢の構想に投資することだってできないことはない。

次に、そうした大きなプロジェクトをやるなら一番を目指さなければならない。巨額の資金が必要なのだ。「成果は程々で良い」と思ってやってもらっては困る。

それなのに、「ここで一番になるとどういうメリットがあるのか」みたいなバカなことを聞いている議員がいて、見ていてがっかりしたりカッとしたり。

例えばロケットの予算。日本は戦前世界トップの航空技術を持っていた。零戦のように自在に空を飛べる戦闘機は当時他のどの国も作ることができなかった。

あのアホな戦争をやってしまったお陰で、敗戦国としてそうした技術をことごとく取り上げられ、使用禁止にされ、研究もできなくなり、日本の航空技術はほぼゼロになってしまい、今でも世界の航空機市場で大きく後れをとっている。最近になってやっと、少しずつ外国から買ってもらえるレベルの航空機を製造できるようになってきたようだ。

ここまで来るのに戦後50年以上かかった。ロケットに関してはまだ有人飛行を実現できていない。それでも、先日のHTVだっけ、無人ロケットは地球から制御して宇宙ステーションに物資を運び込むのに成功した。

そう言う素晴らしいレベルまで来た。

それなのにスパコンもロボットも「費用対効果」みたいな短期的な商人の理論ですぱっと切られてしまった。

悲しいことだ。情けないことだ。

日本には国土がない。資源がない。あるのは技術だけなのに、国からの未来に投資する援助がなくなって、どうやって技術立国できるのだろうか。技術もなくなる国で、未来の子どもたちはふぬけになって他国の属国になって生きていくのではないだろうか。なんだかぞっとしてしまった。

0 件のコメント: