2008年11月14日金曜日

NHK京都特集

NHKは11月を京都の月と決めてさまざまな番組で京都を特集している。

その流れですべて再放送のようだったが、火曜から昨日までNHKハイビジョンで京都を取り上げた番組を見た。

火曜は元呉服商だった家の半年の生活を追い、水曜日は老舗料亭の代替わりを取り上げ、昨日は他の番組を見てしまったために後半しか見られなかったが冷泉家の今を描写していてとても興味深かった。

京都ではどの家もああやって暮らしていると思ってはいけないのはもちろんだが、いまだ現役で商売をしている料亭は置いておくとして、元呉服商と冷泉家が数百年前から今に至るまでほぼ昔通りの生活を維持しているところがすごい。すごいなんていうレベルではなくすごい!

冷泉家はもう貴族ではないし、呉服商ももう先代で店を畳んでしまっているので、その広大なお屋敷を維持するだけでも大変なことだと思うが、試行錯誤を経たのだろう。文化財としての優遇措置と保存会のような組織を利用することで、昔ながらの優雅な四季を送っている。と言うか一見優雅に見えるが、こういう生活を守っていくのは並大抵のことではない。番組を見ていて思ったのは、こういう家なら本当に身にしみて四季を感じるだろうなということだ。

とりあえず普通に暮らす場合でも、京都は盆地だから夏暑く冬寒いはずだ。それなのに、料亭だけは客商売だからそれなりに現代の設備を利用していると思うけれど、呉服屋さんと冷泉家の場合は建物が昔のままなわけだし、台所などは天井がものすごく高くて、風がひゅーひゅーと吹き抜けていきそうだ。第一夏の風景を見ていても網戸というものがなく、冬の風景を見ていても障子+廊下+板戸(さすがにガラス戸はあったかな)で外という感じだ。地球温暖化の今、寒いときは一層寒く、暑いときは一段と暑くなってきたような気がして、エコを心がけねばと思いながら、つい空調のスイッチを入れてしまう今日この頃なのに、この家では夏は暑そうだし、虫が入ってきそうだし、冬はしんしんと冷えそうだ。空調もどこかに入れていないはずはないと思うが、その効果も焼け石に水という感じで、見ているだけで身が引き締まってしまう。とはいえ、景色としてみる分にはとてつもなく美しく引き締まった家屋や庭が画面の中に収まっている。

一等地にあっても売ることもできず、建て直すこともせず、蔵に埋もれているあまたのお宝をほぼ独力で守っているのには、本当に頭が下がる。

世界中を探しても、歴史的な建造物は保存されていても、文化風習までその家の住人が守り伝えていこうとしているところなんて、他にはないのではないだろうか(やむを得ず昔のままの生活を送っている場合を除いて)。

連日番組を見ているうちにどんどん京都に行きたくなってきた。

京都に行くと、二条陣屋に行くのが定番だ。二条陣屋に初めて行ったのは、たぶん30年くらい前だと思う。二条城のすぐ近くにあるのだが、大きな道から少し入ったところにあって、おまけに要予約だから、あまり知られていなくて、この家の奥さんだの大奥さんだのと思える人たちが丁寧に集まった予約客に屋内の説明をして案内をしてくれた。屋内にはさまざまな趣向が凝らしてあるほか、防火防犯の施設もあって、どの部屋でもあちこちきょろきょろと見回さずにはいられない。そうして歩いていたら、大奥様とおぼしき方から「ちょっと。畳の縁を踏まないでください」とぴしっと注意された。未熟者は一つお勉強しました。

この二条陣屋もいつだったか見学に行ったときに、重要文化財の指定を受けましたという説明があって、そうなると修理なども費用を気にしないで行うことができるようになるとかで、本当によかったと案内の女性がおっしゃっていた。実際、その頃から案内の人も今までの「どう見ても家人」風の人ではなくなり、アルバイトの学生風の人とか「守る会」的組織の人風の人とか、そう言う人が担当するようになり、それまではおまけ的に見せてくれたところや触らせたり入れたりしてくれたところにも出入り禁止になって、見学も少し窮屈になってしまった。時間もぴったり予定通りという感じで終わるようになったしね。

今回、京都には他にもこういう重要建造物があるということを知り、もしかしたら見学できるかもと思い、まだ予定は全然ないけれど、こういうときに便利なネットでちょっと調べてみたら、元呉服商の杉本家は保存会に入らないと内部見学はできないようだった。保存会にも何ランクかあって、一番お安い会員で会費は年間1万円なのだとか。ま、そうでしょうね~。家屋を維持するだけでなく、日々のお献立や折々の行事もちゃんと踏まえて生活しているのだもの。でもまー、いつ行くか分からない京都の旧家の保存会にすぐ入るほど金持ちではないので、とりあえず今回はテレビで目の保養をさせてもらったと言うことで満足することにした。

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