2008年11月25日火曜日

高尾山で右往左往

毎年この時期になると高尾山に出掛けるのが恒例になっている。

今年はすでに11月の初めに出掛けたのだが、新たな高尾山未体験者が是非行きたいというので、急遽紅葉狩りに出掛けてみた。

高尾山に出掛けるようになったのは4,5年前のことだが、その頃はしんみりと紅葉狩りをして、ゆったりとおそばなんかをいただき、お土産屋さんを覗いて回って気が向けば買い物をすると言うことができた。

ところが、去年の勤労感謝の日に大した心づもりもなく出掛けたところ、すでに八王子の駅当たりから嫌な予感がしてきて、高尾で京王線に乗り換える頃には予感も何も、どう見ても全員高尾山に行くつもりだろうみたいな混雑になってきて、高尾山口駅に着いたときには駅構内トイレの行列、改札を出る行列、待ち合わせの団体が三つどもえになって大騒ぎだったし、ケーブルカーに乗るまでにどれくらい待っただろうかという混みようで、すべてがごてごてに回って、美味しいお昼をいただくどころではなく、帰りのケーブルカーに乗るのに2時間待ちになったことで、仕方なくケーブル高尾山駅の横にある食堂で食券を買っておそばを食べる羽目になった(これはこれで美味しかったけど)。高尾山口の駅を降りてからあちこちのお店から漂ってくるかぐわしいお団子やおそばやお焼きの匂いはすべて絵に描いた餅に終わった。

何故こうなったのかというと、なんでも高尾山は去年のミシュランで観光地の三ツ星に選ばれたのだとか。恐るべし、ミシュラン。

と言うわけで、今年は初心者を案内することでもあり、万事早め早めの展開で行こうと思ったにもかかわらず、出発からして少し遅れたため、やっぱり八王子当たりから去年と同じ状態になり、後はすべてデジャブ。

変なところでトイレに行きたくなって環境に余計な負荷をかけたくないと言う思いから、高尾の駅でトイレに行こうと思ったが、すでに駅のトイレは長蛇の列。念のために行っておこうと思っただけなので、とりあえずトイレはあきらめて、早くケーブルカーの清滝駅に行かねば!と言う気持ちで一杯になる。

しかし、高尾山口の駅も押すな押すなの人だかりで、何とか改札口に近付けた!と思ったら、そこは切符を持っている人の改札口で、SuicaやPasmoの改札口は長蛇の列。そこからケーブルカーの清滝駅までは、ただもうひたすら粛々と人の波に乗って進むだけだった。

清滝駅も案の定長蛇の列。整理の駅員さんに聞いたら1時間待ちとのこと。今回は初めて山頂まで行こうかという話になっていたので、せめてここだけはケーブルカーで登りたかったが、1時間待っている間に歩いていけば高尾山駅に着いてしまうので、やむを得ず、もっとも初心者向きの1号路から徒歩で登ることにする。とほほ。

ほとんどの人が清滝駅で行列を作っているはずだと思ったのは間違いだった。1号路も結構な人出で、下手をすると他の人とぶつかったり、ぶつかりそうになったりして、うっかり急な進路変更なんかは危なくてできないくらいだ。1号路は多少急坂ではあるけれど、舗装路だし、道幅もそれなりにあるので、ひいはあしてきたら路肩に逸れて、それほど見晴らしはよくないけれど一休みすることができる。そうやって休み休み登っていくうちにさすがに暑くなってきた。寒いと思ったのでたくさん着込んできたのだが、徒歩で行く場合はそこまで着込む必要はなかったかも。

大勢の人々と抜いたり抜かれたりしながら次第に高度を上げていき、眼下に圏央道を眺めたりしながら何とか高尾山駅に到着。見晴らしのよい休憩スペースがあるのだが、当然満員。のどが渇いたのでお茶を買ってのどを潤す。歩いてくるなら最初から用意しておけばよかった。

一息ついたのでまた気を取り直して出発。この先は薬王院まで比較的平坦な道のりだが、浄心門のところで意を決して4号路へ逸れる。

ここまで歩いてきたから薬王院にお参りに行ってそのまま帰ってきてもいいところだけれど、せっかく元気な初心者を案内してきたのだから、未知のルートを初体験してみることにする。

この辺りですでに高度は450メートルを超えていたようだが、4号路はいったん下りになるのでせっかく登った分の労力が台無しだ。勿体ない。下りだからいったん休憩モードになれるのだが、道は1号路に比べてぐっと狭くなり、おまけに後続の人たちがいて、前からは山頂から降りてくる人たちがひっきりなしにいるので結構怖い。何しろ柵もなく、道が狭くて、谷側は切り立っているので、立ち止まって景色を眺める余裕もあまりないが、見ると眩暈がしそうだったので、谷側には下りの人たちに歩いてもらうように山側にへばりついて歩いてしまった。でも、時々見上げると谷の一部に日が当たっていて、紅葉がとても綺麗だった。

しばらく行くと吊り橋があった。ネットで調べたときは音声付きでさらさらと流れる小川のせせらぎが聞こえたのだが、なぜだかこの日、川は枯れていて、吊り橋を大勢の人が渡るどたどたという音ばかりが響いていた。おまけに吊り橋だからえらく揺れる。別に断崖絶壁ではなかったけれど、渡っている最中に橋の強度が寿命を迎えたらどうしようかと思ってしまった。が、そんなこともなく、無事反対側にたどり着き、その辺りからだんだん上りになって、もうこうなると休憩ばかり。狭い道だから腰掛けるところもなくて、人の邪魔にならないようにただ端っこによけて息が戻るのを待つくらいしかできない。

もうすぐかな、もうすぐかな、と何度も地図を見ながら進むと、道が二手に分かれた。片方は下りに、もう片方は急な上りになっている。下りの方が4号路で、上りはいろはの森コースと言うものらしい。本来は4号路を行く計画だったが、この辺りになると、せっかく登ったものを下るのが勿体ないと思う心境になっていたので、4号路を離れていろはの森コースを登る。結構大変。ひいはあ。何度も休憩。

そうやってあの上の広場らしきものが頂上か!と何度か期待するうちに、他の道との合流地点に出た。1号路との合流点だった。合流したので人が増える。綺麗な紅葉がそこかしこで目に入るのだが、景色を楽しむどころではなくなる。人の流れに沿って進んでいくと、またもや他の道が合流してきた。4号路だ。人はさらに増え、その先に仮設の女子トイレが出現。当然長蛇の列。そこを過ぎて最後の坂道を上ると平坦な広場に出てそこが頂上のようだった。大勢の人がお弁当を広げているため、富士山だとか、遠くを見晴らす景色を見ようにも、大勢の人たちがそこかしこに陣取っているので、広場の真ん中からきょろきょろと四方を見回すしかなかった。

見回しているとアイスクリームの旗が目に入った。隣がおでんでこちらには長蛇の列ができていたが、上り詰めで汗ばんでいると、おでんよりアイスクリームという気分になる。幸い誰も並んでいないし。と言うわけでソフトクリームを作ってもらう。美味しかった! 昔、京都の醍醐山で山頂まで登った人たちがそこのわき水を飲んでその感想から「醍醐味!」と言う言葉が生まれたと聞いた覚えがあるが、本当に美味しかった。

しかし、弁当も持たず、長蛇の列に並ぶ気もない場合は、他にすることがないので、なるべくごちゃーっとした人混みが写らないように気を遣いながら紅葉だの遠くの山の稜線だのをカメラで写して、帰りは1号路で薬王院へ。

薬王院に近付くと、すごかったですね~。山頂に向かう群と下る群がそれぞれ左側通行で道をぎっしりと埋め尽くしているのだ。後はもう流れに沿ってゆっくり進むしかないという混雑ぶり。まるでお盆の時期の高速道路のようだった。

止まったり進んだりしながら薬王院にたどり着き、薬王院を出ると、その先は道が少し広くなるせいか、人混みがばらけてゆったりマイペースで歩けるようになった。このころ疲労がピークに。どうなることかと思ったが、とりあえずケーブルカーの駅まで行って下りの切符を確保しなければならない。去年は切符の他に整理券まで出していたのだから、もしそうなっているようなら、早く整理券をゲットして、待ち時間に応じてこの付近でお昼ご飯を食べようと思ったら、まだ整理券を出すところまで入ってなくて、でも行列はできていて、待ち時間30分とのこと。30分なら並んでしまって、清滝駅付近でお昼にすることにした。

列はなかなか進まない…ように思えたが、そんなことはなくて、大体30分ほどで改札口が目の前に見えてきて、その頃、行列の最後尾は待ち時間が1時間と言っていたので、並んで正解だった。2時少し前にケーブルカーに乗って行きは1時間近く歩いたところを5分で清滝駅に到着。

駅周辺の商店街はどこも混雑。午後2時だというのにケーブルカーもまだ長蛇の列。と言うわけでお昼を食べるのにも行列を覚悟して、柿の木が家の中を貫いているお蕎麦屋さんに入る。屋内の柿の木の横に名前を書き込むノートが置いてあって順番が来るまであと1ページ半と言うところだった。幸い待合いの椅子が空いたので座る。ふと思い立ってトイレにも行く。数人並んでいたけれど、駅や道中の公衆トイレほどの混雑はなく、程なく清潔なトイレで用を足すことができて、これは大正解だった。

座って待っているうちに疲れもすっかり取れて、またこのお蕎麦屋さんは結構大きな蕎麦屋なのでお客さんもきびきびと回転して程なく順番が来た。この辺りはとろろ蕎麦が名物だが、とろろは好きではないので天ぷら蕎麦にする。蕎麦に天ぷらが乗っているのではなく、そばの他に一皿天ぷらが数種類盛りつけてある趣向だ。海老やらマイタケやらあるのだが、カボチャかな?と思った天ぷらはどうやら柿のようだった。柿が家を貫いているお店だから、柿にこだわりがあるのかも。美味しかった~。

これですっかり元気百倍。その後、まだまだ混雑していて、さすがに気分が悪くなる人もいるのか、救急車も何台も通る商店街を駅まで歩いて、途中でお土産のお饅頭でも買おうと思っていたが、あまりの混雑にもう行列する気になれず、そのまま帰ってきてしまった。でも、家に着いたら少し小腹が空いてきて、やっぱりお饅頭も買ってくればよかった、天狗煎餅も買ってくればよかった、と最後にちょっと後悔した右往左往の締めくくりとなった。

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